労働審判FAQ

会社関係者も労働審判期日に出頭しなければなりませんか?

 労働審判期日における証拠調べ(尋問)では、双方の主張を基礎づける事実関係について質問がなされます。問題となる事実関係について直接体験した人でなければ説明に説得力がありませんので、労働審判期日には、争点となっている事実関係について直接体験した人物が出頭する必要があります。
 直接体験した人物ではなく、報告を受けただけの人物しか出頭しなかったり、代理人弁護士だけが出頭するとなると、会社側の説明は証拠価値が低くみられがちな上、具体的事実関係について即答できないことになりかねず、会社が不利益を被るリスクが高くなります。
 また、代表取締役社長や人事労務担当役員などの、調停をまとめるかどうか、どのような内容で調停をまとめるかについて決裁権限のある人物が労働審判期日に出頭することが望ましいです。決裁権限のある人物が出頭しないと、調停案を一旦会社に持ち帰り検討してからでないと判断することができないということになりかねず、解決までの日数が長くなってしまいがちです。
 労働審判官や労働審判員と直接話をしておらず、労働審判期日の場の雰囲気を直接感じ取っていない人物が調停に応じるかどうかを判断した場合、決裁権限がある人物が出頭した場合と比較して、適格な判断ができないリスクが高まります。
 決裁権限のある人物が労働審判期日に出頭できない場合は、労働審判期日が開催されている時間帯は代理人弁護士からの電話に出られるようにしておき、電話で労働審判期日の報告を受けた上で、調停をまとめるかどうか、どのような内容で調停をまとめるか等について電話で協議できるようにしておくべきでしょう。