労働審判FAQ

第2回労働審判期日の概要とポイントを教えて下さい。

 労働審判手続の運用では、第1回労働審判期日までに主張及び証拠の提出を終え、第1回労働審判期日で証拠調べを行い心証を形成し、労働審判委員会が形成した心証に基づいて調停が行われており、第2回労働審判期日は調停をまとめるのに充てられるのが一般的です。追加の証拠調べがなされることはありますが、あくまでも補充的なものに過ぎません。労働審判規則27条は、「当事者は、やむを得ない事由がある場合を除き、労働審判手続の第2回の期日が終了するまでに、主張及び証拠書類の提出を終えなければならない。」と定めていますが、これは、第2回労働審判期日までに主張及び証拠書類の提出を終えればいいということを意味しません。
 実務感覚としては、少なくとも主要な主張及び証拠書類の提出は、第1回労働審判期日までに終えておき、第2回労働審判期日は調停のための期日と考えて労働審判事件の準備をする必要があると考えます。
 第2回労働審判期日で新たな主張をしたり、新たな証拠を提出するのは、第1回労働審判期日までに準備が間に合わなかった場合か、第1回労働審判期日で労働審判委員会から指示されたような場合くらいではないでしょうか。
 労働者側が合理的な条件を提示している場合は、特別な事情がない限り、第2回労働審判期日で調停をまとめるべきでしょう。全体の約半分の割合の労働審判事件では第2回労働審判期日までに調停が成立しています。
 労働者側が不合理な条件に固執しているような場合は、直ちに調停に応じることはできません。第2回労働審判期日において調停を試みた結果、労働者側が合理的条件を受諾する旨の意思を表明すれば、第2回労働審判期日で調停をまとめます。第2回労働審判期日が終了するまでに条件の折り合いがつかなかった場合は、第3回労働審判期日を開催すれば調停がまとまる可能性がある場合には第3回労働審判期日までに双方が解決金額等を検討してくることとして第2回労働審判期日を終了させます。第3回労働審判期日を開催しても調停がまとまる見込みがない場合は、第2回労働審判期日で労働審判がなされることは珍しくありません(労働審判事件全体の約7.1%)。
 第2回労働審判期日は、第1回労働審判期日において主要な争点についての証拠調べを終えているため、第1回労働審判期日よりも短い時間で終わるのが通常です。第1回労働審判期日に労働審判委員会から調停案が提示されていて、第2回労働審判期日では当事者双方が調停案を受諾する旨直ちに回答したような場合は、30分もかからずに第2回労働審判期日が終了することもあります。
 他方で、第1回労働審判期日終了後に当事者から新たな主張がなされた場合や、当事者が調停案を受け入れなかったものの双方の意見の齟齬が小さく時間をかければ調停が成立しそうなため調停に時間がかかったような場合等は、やはり時間がかかります。当事務所が受任した労働審判事件では、第2回労働審判期日に2時間30分かかったことがありました。したがって、第2回労働審判期日前の交渉で話がついている場合は、30分程度で第2回労働審判期日が終了すると考えて差し支えありませんが、事前に話がついていない場合は、少なくとも2時間、できたら3時間程度、第2回労働審判期日に時間がかかっても問題が生じないようスケジュールを確保しておくべきでしょう。